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1998 年 10 月 3 日土曜日,抑えきれない衝動を抑えきり,私は千葉へ向かった。タイトルにもあるように,SHARP 製のエクセレントノートパソコン,メビウスを買うためだ。もう名前も決まっている。「Lelie」だ。将来的にはネットワークから参照される度にこの名前を返してみたい。

ここに至るまでにはさまざまな葛藤と愛と勇気があったワケだが,最終的にそこにはただ現金の入った封筒と数千円の入ったダミー財布とそれにつじつまのあうダミーレシートと適度な重さの小銭入れの 7 つ足らずの道具があった。つまり数百 K 円などという大金を持ち歩いた事なぞ大学の入学金払いに行った以来のことであり,いくつかの工作をしておかなければ気が済まなかったのだ。ただ全部同じかばんの中に入れてあったのであまり意味はなかったかも知れない。

私が千葉のヨドバシカメラへ到着すると,希望に眼を輝かせた 1 人のおじさんが SONY の VAIO を今まさに購入せんとしていた。私は早速負けじと店員の人に思いを告げる。「あのー。このメビウスっていうのー? かわいいからチョー欲しいっていうかー。」

ついに Lelie を手に入れた。私の手の中のそれは静かに使われる瞬間を今か今かと待ち続けている。私は現在の状況をとりあえず Ctrl+s で上書き保存し,帰路につこうとした。そんな私の心の中を見通したのか,店員が私に声をかける。「今大抽選会やってまして,10 回程抽選ができます。」そうか。そういえばそんな事言ってたな。ようしワシが当てたる。と意気込み抽選会場へ。そこには先程私に対抗して VAIO を御購入されたおじさんがいた。おじさんが見事に 10 コのポケットティッシュを当選されたのに触発され,私も真似して見事にポケットティッシュ 10 コを引き当てた。ていうかはずれだった。一瞬セーブしたところからやり直そうかとも思ったが,メビウスが重いので帰ることにした。

さてメビウスのしかくい箱を持って電車に乗らなければならない。この最大の困難に立ち向かうために私はあらかじめいくつかの対策を練っていた。外界からの攻撃から Lelie を守り,またその特異な外見から Lelie に対する注意をそらしてくれるハリセン,電車の中の乱雑な風景から Lelie を隔離する役割を持つアイマスクと大音量のヘッドホン,などなど,さまざまな障害から Lelie を守る手段は考えたもののめんどうだから持っていかなかった。

最寄り駅へ到着。私はいつも駅から歩いて家に帰るので,この日もメビウスのしかくい箱を持って帰宅。これからノートパソコン生活が始まるのだ。

メビウスなど,それっぽいものは多分登録商標です。

1998.10.19 モルタルコ