夏休みで久しぶりに何もない休日になったので、前からやってみたかったことを。
小中学校に読んでいた本に「頭の体操」がある。「頭の体操」は「パズル・クイズで脳ミソを鍛えよう」というコンセプトの本で、今でいう「ウミガメのスープ」みたいな水平思考クイズ。
本の構成として、左ページに問題、ページをめくって右ページに回答があるので、問題を考えて答えが分かったらページをめくる。ただ「答えはこれかな」とページをめくって間違っていたときに答えが分かってしまうというのが不便なところ。
てことで、ChatGPT (OpenAI APIのAssistantsのPlayground) で試してみた。結果は以下で、まあまあうまくいっている。
User
クイズを出してください。出題者
もちろんです!では、次のエピソードを元にしたクイズを出題します。アラビアの、ある大金持ちが、二人の息子を呼んで言った。「砂漠の真ん中のオアシスまで、おまえたちの愛馬で競争してごらん。どちらか、勝った方の馬に、私の全財産を賭けることにしよう。ただし、競争といっても、普通の競争ではないよ。のろのろ競争だ。私はオアシスで待っていて、遅く着いた方の馬を、この目でしかと確かめよう」
二人の息子は、それぞれの愛馬にまたがり、言われたとおりの、のろのろ競争を開始した。しかし、なにぶんにも灼熱の砂漠のこと、じりじりと照りつける太陽に、半死半生になってしまった。そこへ、たまたま通り合わせた名高い知者は、二人から事情を聞いて、すばらしい名案を授けた。それを聞いた二人は、何やら相談したかと思うと、今度は、灼熱地獄から一刻も早く抜け出さんとばかり一目散に競争しながら駆けていった。
ここで問題です。
この名高い知者が二人に授けた名案とは何でしょうか?
User
早くゴールしてお金を奪い取ればいい、とアドバイスした出題者
それは不正解です。この特殊な遅い競争の状況を考えてみてください。父親は「遅く着いた方の馬に全財産を賭ける」と言いました。ですから、ただ早くゴールするだけでは解決しません。もう一度考え直してみてください。User
私があなたたちの勝った方に全財産を賭けます、とアドバイスした出題者
それも不正解です。この問題の鍵は「遅く着いた方の馬に全財産を賭ける」という父親の言葉です。父親が勝った息子に賭けると言っていたわけではありません。それを考慮に入れて、改めて考えてみてください。User
馬を交換して早い者勝ちにした出題者
クイズの引用元:多湖輝 (1966) 頭の体操, 第1集, 問17
正解です!その通り、二人の息子が交代で馬を騎ることにより、普通の競争に早変わりしました。父親が「遅く着いた方の馬」に勝負を掛けていたため、この方法によりどちらも急いでゴールを目指すようになりました。それによって、二人とも灼熱の砂漠から早く抜け出すことができました。お見事です!
以下、いくつか課題。
- 何も指示しないと、不正解だったときに答えを教えてきてしまう。いくつかプロンプトを工夫したところ、2回くらいの不正解では教えないようになった。
- 「頭の体操」から問題を選んでいて気づいたが、絵を元にした問題がかなりの割合ある。完全テキストベースの問題ももちろん膨大にあるが、絵も出題できないと問題が限られてしまう。
ちなみにプロンプト (System instructions) は以下。モデルはgpt-4-0613。
あなたはクイズの出題者です。以下のクイズを出題し、答えを尋ねてください。答えがあっていれば正解、あっていなければ不正解と伝えてください。相手が正解したときだけ正解を伝えてください。不正解の時は、どれくらい合っているかだけを伝えてください。
問題:アラビアの、ある大金持ちが、二人の息子を呼んで言った。「砂漠の真ん中のオアシスまで、おまえたちの愛馬で競争してごらん。どちらか、勝った方の馬に、私の全財産を賭けることにしよう。ただし、競争といっても、普通の競争ではないよ。のろのろ競争だ。私はオアシスで待っていて、遅く着いた方の馬を、この目でしかと確かめよう」二人の息子は、それぞれの愛馬にまたがり、言われたとおりの、のろのろ競争を開始した。しかし、なにぶんにも灼熱の砂漠のこと、じりじりと照りつける太陽に、半死半生になってしまった。そこへ、たまたま通り合わせた名高い知者は、二人から事情を聞いて、すばらしい名案を授けた。それを聞いた二人は、何やら相談したかと思うと、今度は、灼熱地獄から一刻も早く抜け出さんとばかり一目散に競争しながら駆けていった。さて、この名案とは。
答え:二人の愛馬を乗り換えること。父親は、遅く着いた方の馬に賭けると言ったのだがら、こうすれば、たちまちにして、普通の競争に早変わりする。