‘書評’のエントリ

しばらく「なれる!SE」シリーズを読んでいたのだが、全巻読み終わったので。Kindle Unlimitedでほぼ全巻読めるのでお徳。

これはラノベ?なんだけど内容がすごいリアルで読むのに体力がいる。騙されてネットワークインフラエンジニアになり、PM、提案、管理職などをいろいろ経験していくお話。協力社員が協力しないとか、顧客先常駐して無茶振りされるとか、あるあるな状況になりながらもちょっとおかしな方法で解決していく。

で、最終巻、最後の議論。これがメインテーマだとしたら物語全体を見る目が変わってくる恐ろしい構成。日本のSIerは高度エンジニアをすぐマネージメントや事業戦略に就かせて代わりに素人を投入する。それはITのスキルが重要なんて誰も思っていないから。その結果素人しかいなくなって日本のIT業界は何も生み出せない。

と、まあよく言われていることだけどその通り。終身雇用で1つの会社に居続けるためにゼネラリストにならざるをえなくて、新卒一括採用だから素人を入れざるを得ない、と。それが嫌なら独立するか外資系にいくしかないと。どっちにしようかなあ。

冬休み。いい加減勉強に疲れたので息抜きに「情報セキュリティの敗北史」を読んでみた。珍しくOreillyのサブスクにはなかったのでKindleで。525ページになってるけど、半分くらいは脚注と参考文献なので半日くらいかな。

内容的には、自分もずっと考えていたことが情報セキュリティの歴史から説明されていた感じ。今の情報セキュリティってどうやって攻撃するかだけが注目されていて、どう対策するかには誰も興味がない。ホワイトハッカーというよく分からない職業の人が、特に新しさのないバッファオーバーフローの脆弱性を付いて、仰々しい名前を付けて世界で公開して注目を集めるビジネス。

この建築会社が作った家はここに火を付ければ効率よく燃えるから欠陥だ、というのをテレビで発表して富と名声を得て、建築会社に無理矢理対応させるようなやり口。火を付けられるからって普通の人は火なんか付けないし。

・・・って思っていた人は必読。こんな感じの話をちゃんとした切り口で説明して、情報セキュリティは歴史が浅くて迷走してるけど、他にいくらでもある歴史が長い分野から成功した方法を取り入れよう、というのが分かりやすく書かれている。

一応進めているWT3の新コンセプト。いろいろアイデアはあるけどなかなかまとまらないので、平行で勉強も進めている。アプリ&ゲームプランナー必読!レベルデザイン徹底指南書組み立て×分解!ゲームデザイン ――ゲームが変わる「ルール」のパワーを読んだり、ソーシャルゲームを試してみたり。

なるほど、今のこの辺りの業界ってこうなってるのか。特に日本だと家でじっくりゲームする時間がないから、気軽に簡単にできる必要があるってことなのかな。ウェザタイで課金とかは考えてないけど、毎日やりたくなるようなやりこみ要素は欲しいところ。

最近,楕円暗号を理解するために数学を勉強中。とりあえずCマガジンで有名な結城浩さんの「数学ガール」シリーズをKindleで読んだり,家にあった「なっとくする虚数・複素数の物理数学」を読んだり。大学の頃は日本の本ってわざと分かりづらく書いていた感があるけど,最近は日本でも分かりやすく書いた本がたくさん出ていて,趣味でやるにはよい感じ。

楕円暗号といえば楕円曲線,楕円曲線といえばフェルマーの定理,らしいので,評価が高いSimon Singhの「Fermat’s Last Theorem」を読んでみた。アンドリュー・ワイルズが7年間秘密に研究していきなりカンファレンスで発表,という流れはすごく面白い。数式がほとんどないのでちょっと物足りないけど,これ以上はかなりの数学知識がないと理解できないらしいのでここまでか。ちなみに英語版で読んだので数学的帰納法(Induction)とか,数学用語の英単語が覚えられた。

で,ようやく楕円暗号だけど,「暗号理論と楕円曲線」が割と分かりやすくて読んでいる。まだ1/3くらいだけど楕円暗号の概要は分かった気がする。

せっかくだから物理を勉強したときの物理シミュレータ,音楽を勉強したときの楽譜アプリみたく,数学をテーマにしたアプリでも作りたいけど,何かアイデアないかなあ。

本屋めぐり。いつか買おうと思っていた趣味で物理学が3冊揃っていたので購入。

この本はEMANの物理学という物理解説サイトをまとめたものだが,物理シミュレータWorld Testerを作ったときにすごく参考にしたサイト。物理を解説する体で実は考察していく構成で面白い。一時期ずっと読んでいたが,本を購入することで少しでも支援できるのかなあ。

10月が終わってしまうのでエントリを追加。

WT3の開発は進んでいるのだが,まだ区切りがつくまで遠い。入力方式プラグインカスタマイズツールを作ろうとしているのだが,その前に,前回適当に間に合わせで作ったロビーのデザインを改善したり。

で本屋で目を引いた「なるほどデザイン」という本を読んでいるのだが,面白い。だいたいのデザイン本はルールと例は載っているが,設計方法が書かれていないので,初心者としてはどう役立てれば良いのか分からない。で,この本は設計方法が書かれていて,ステップごとに改善されていく様子が載っていたりする。役立ちそう。

人工知能は人間を超えるか」 (松尾 豊) を読んだ。いわゆる人工知能(アルゴリズム)ではなくて人工生命(思考,意識)に近い方の話。自分は大学でニューラルネットを研究していて,数年前に脳関連の本を読みあさったまま中断していたが,最近ディープラーニングが話題なので詳細が知りたくて。

結局ディープラーニングは特徴量を探すことができるようになりました,ってことなわけで,それ自体はこの本にも出ているPalmの創始者ジェフ・ホーキンスの「考える脳 考えるコンピューター」とかスティーブ・グランドの「アンドロイドの脳」でなんとなくできたよ,くらいにはなっていたように思うけど。

私が数年前に考えていたのは,その先,どうやって意識に持っていくかというところで,Googleが猫を猫と判定しても,それが敵と思って逃げるのか,かわいいと思って近づくのかを実現したいわけで。するとどうしても本能的なところが必要になって,現実世界に身体を持たないと難しい,というところで止まっていた。といっても遺伝的アルゴリズムで自然淘汰をするのは数億年かかりそうだし。その辺は「人工知能は人間を超えるか」にも書いてあったけど必要だよね,くらいだった。

最近Arduinoをやってるのも,現実世界からセンサで情報を取り込んで,モーターを動かすのをニューラルネットでやって何か面白いことできないかなあ,というものなので,ウェザタイを作りつつ勉強再開しているところ。

アメリカ出張。飛行機の中で,Twitterで話題?のちきりんさん著「マーケット感覚を身につけよう」を読んだ。自己啓発書なんかは読まないからよく分からないけど,この本は多分そういうのとは違う気がする。

この本はマーケット感覚(価値の見つけ方)が主題の本だけど,お金が発生しないことでもあてはまることが説明されていて,自分の場合はフリーソフト作成にあてはまる。そこで,フリーソフト作成とマーケット感覚について考えてみたのでここに残しておこう。飛行機で映画見ない人はひたすら何かを考えてしまうわけですね。

フリーソフトというのは,自分のために作ったソフトを公開して,同じことに困っている人にも使ってもらおうという趣旨のものだが,ユーザは多い方がフィードバックももらえて作者もユーザも嬉しい。ただ,フリーソフトの性質上,万人に受け入れられるものではなく一部の人が嬉しいものなので,狭い市場でどれだけピンポイントでユーザに届けられるのかというのを考えないと,全く知られずに終わってしまう。

フリーソフトの価値

そもそもフリーソフトの価値って何? という話になるのだが,今まで漠然と考えていたのは以下。

企業が作るもの:

  • 万人受けするものを作らないと規模が出ないので,一部の人だけが満足するようなソフトは作りづらい
  • 作成者がユーザであることは希で,受注だったり上が決めた企画だったりするので,ユーザの感覚と開きが大きい

フリーソフト:

  • 採算度外視なので,一部の人しか満足しないようなソフトでも作れる
  • 作成者がユーザであることがほとんどなので,ユーザの感覚を熟知している

ゲームだと制作者の熱意によってまた違ってくるかも。個人的には,企業が作ったものはライトに使う分にはいいけど,ヘビーに使おうとすると使いづらい。逆にフリーソフトはその分野を知っている人ほど使いやすい印象。代表例だと,TV/DVD視聴ソフトとか電子書籍リーダーなんかは単なるコンテンツのおまけ程度で,使う人のことを全く考えていないUIが多い。

てことで,1年前に作ったAnalog Book Readerでは,そこの不満を解消するために,ユーザからしたらこういうのが欲しいんだよ,的な電子書籍リーダを作った。その辺は以前の日記で書いているのでいいとして。ただ,ダウンロード数はあってフィードバックももらっているんだけど,いまいちフィードバックをもらって解決して,的なループまでいっていない。

成功例

14年前,学生の時に作ったWeather Typingはマーケットをあまり意識しないで作っていたが,たまたまタイピングコミュニティの人達に届いてフィードバックをたくさんもらい,一緒に育てることができた。これを再度分析してみる。

Weather Typingは,当時SEGA ザ・タイピング・オブ・ザ・デッドをやり続けて,タイピング対戦だけに特化したソフトがあればいいのに,というきっかけで作ったが,対戦ができることが価値かというとそうではないんだろう。

その後,GANGASさんで紹介してもらってタイピングゲームのコミュニティから使ってもらうようになり,掲示板で議論しながら対戦機能を完成させていった。SWOTっぽく分析すると

  • 企業とは違い,作者がユーザに近いところにいるのでリアルなフィードバックが得やすい位置にいる
  • 作者自身がユーザなので要望の取り込み方,取捨選択の基準がしっかりしている
  • 学生で時間があるので,ロビーサーバでユーザとチャットしたり実際に対戦したりできた

という強みがあって,

  • 当時できつつあったタイピングソフトユーザのコミュニティ
  • TVでタイピングソフトが取り上げられて,ちょっとした流行になっていた

という環境があって,

  • 作者に直接要望を言えて,
  • タイピングソフト利用者にとって違和感なく実装してくれる

という価値をユーザに提供していたことになる。と思う。で,フィードバックを実現していくことで,「この作者に要望を出せば理想のソフトができる」という信頼を得られ,さらにフィードバックが来るようになり,ループができた。

今作っているWeather Typing 3も,タイピングサミットでもらった要望をまとめあげる予定なのでそこはブレていないが,もう少し小出しに出していかないと求めるものとずれていってしまういそうだ。一応この日記で情報は出していってるが,動くものを少しずつ公開していった方がいいのだろう。

今後の作戦

じゃあAnalog Book Readerはこれからどうしようか。今までは,ターゲットが毎日本を読むヘビー読書家なので,Windowsアプリだとあんまりそんな人はいないのかなあ,くらいに思っていた。

でもこの本を読んだ後だと,例えば

  • 現状,電子書籍リーダーは各社が自社のコンテンツを見るためのソフト(自主的な規制状態)になっているため,自由競争になっていない。
  • ユーザは,電子書籍リーダーなんて紙に比べて読みにくいでしょ,と思っているため,電子リーダーだからこそできる価値に気付いていない

という,ある種ブレークスルー直前状態なわけで,ここになんとか貢献できないかなあ,という想いがある。

究極的には,電子書籍リーダーが,単なるおまけ的なアプリから,紙ではできなかった読書体験をするアプリとして認知されるようにしたい。なので,そういうコミュニティ的な活動が盛り上がってAmazonとかを巻き込んでいく必要があるんだろう。まだそんなコミュニティはなさそうなので,盛り上げることになるのだが,それをどうするか,そこまでは本には書いてない,よなあ。

最近The Gamification Revolutionという本を読んでいる。いろんなことにゲーム的な要素を取り入れることでモチベーションを高められるというもの。Twitterなんか,フォローア数とか,最近一般に使えるようになったTwitter AnalyticsのImpressionsとか,あからさまにゲーム性を出してる感がある。こういうのをフリーソフト作りのヒントにしたい。

Weather Typingはランキング,ロビーや大会などでライバルに勝つというのがモチベーションにつながるのは分かるけど,それ以上何かないかな。TOD2は成績評価してたり,タイプウェルはアチーブメント的なのを導入してるのか。打鍵数とか練習時間が記録されるとか,全配列で一定の点数を出すと何か嬉しいことがあるとか,パッと思いつくのはそんなところかな。

Analog Book Readerも開発中から何かゲーム要素を付けたいとは思っていて,読書時間を記録するようにしたんだけど,もっと積極的に読書を面白くする方法はないだろうか。本を配布しているサイトを運営しているなら,やりようはありそうなんだけどなあ。

EPUBリーダーのためにDTPのいい本ないかな、と本屋へ。行ったのだが,SharePointのいい本を見つけて購入。最近職場でSharePointの話がよく出るので本を探していたのだが,Safari Booksで見てもなかなかいいのがない。使い方とか導入方法とかはあるんだけど,考え方が書いている書籍がない。で購入したのは「SharePoint成功の道標」。日本人が書いている教科書的な本はだいたい読者のことを考えてなくて面白くないのだが,この本はつい先が気になって読み進めてしまう感じ。2章(全体の1/3)まで読んだところだけど,SharePointの画面はほとんど出てこなくてひたすら思想と実例ばっかりでよく分かる。